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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

お先真っ暗坊主 

2017/08/14
Mon. 23:24

飯南高原は、島根県東部の南端にあって広島県の県境に接し、出雲大社近くの日本海へ流れ出る神戸川の上流に位置する。
万善寺は飯南高原の歴史ある名山琴弾山の麓にあって、神戸川の支流保賀川の流れる谷に沿って集落を形成する約20戸のひとつである。
毎年お盆の14日にこの保賀の集落を棚経で回ることにしていて、その風習から、保賀の地域では世間の常識と少しずれて14日からお盆がスタートする。
前住職の頃は、そうめんをゆでたりお団子をつくったりして本堂や仏壇やお墓へお供えしていたが、今年になって母親が死んで私一人になってからは、それら全ての盆行事を何時もより上等の高級線香をお供えして縮小割愛した。
気持ちの問題のひとことで済ますことも出来ない現実の事情には逆らえない。
ようするに、坊主1人で盆行事を切り盛りすることが物理的に不可能だということだ。
そのうえ、今年は台風の通過以降、毎日のように雨が降り続いて境内地の整備や草刈りが出来ないまま盆を向かえたことと、隣町の現職住職の遷化で本葬仏事が加わったことで、万善寺の長い歴史の中で過去に例を見ないほど多忙な8月になっている。

私が住職を引き継いでからそろそろ10年になる。
その間に保賀の集落から転出や絶縁などで7戸の家が空き家になった。
昔は、憲正さんと手分けして棚経をつとめてもお昼は過ぎていたが、今は一人で集落を回っても午前中に棚経が済んでしまう。
この2日間ほど、石見銀山で暮らす吉田家の家族二人が万善寺へ通いながら棚経の留守に盆の手伝いをしてくれている。
手伝いといっても、寺の盆のことであるから一般在家の延長でもなくて、なかなかに普通でないところがあって、簡単に済ますことも出来ない独特の習慣のようなものがある。
そもそも、寺の一つ仏事は1年に一度しか巡ってこないから、その一度のことを1年間覚えておけというのも非常識なことだ。
結局、一つ一つ口伝えに教えて一つ一つ聞いて覚えて、それを延々と何年も続ける間になんとなく頭に入って身体が覚えて、そのうちそれぞれの役目を分業しながら粛々と仏事のひと山を乗り切るという、長い年月の蓄積が大事なことになる。
吉田家からのお手伝い二人も、気持ちはわかるが動きがチグハグで、どうにも自分のペースが乱れて心が騒ぐ。
ヒマで余裕があれば、コツコツと丁寧に目先の事物へ対応できるのだろうが、そういう余裕もないし、どうしても自分の心のざわめきが態度や顔に出てしまう。
私の場合は、少年時代からの長い経験が蓄積されているから、毎日朝にはその日の様子を見てスケジュールの修正をしながらなんとか最低限の作務だけはこなして次に繋がるように仕向けていたりする。
会話の相手が他人であれば、お互いの遠慮もあって、お互いの立場を気遣いながらやりくりできるところもあるから、檀家との連携が出来ているお寺は、檀家から奥さんが寺内の用事をし、ご主人が寺外の用事を手伝い、いい感じで切り盛りが出来ていたりする。
万善寺はそういう習慣が絶えて久しいから今更どうにかするのも難しい。仏事の手伝いをアルバイト募集するくらいが都合良かったりするが・・お先真っ暗坊主のボクなのです。

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