FC2ブログ

工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

晩夏の万善寺 

2017/08/22
Tue. 23:55

保賀の谷の上昇気流を探して、低空飛行の鳶が万善寺裏山の上空へ円を書きながら舞い上がっていった。

最近は、朝晩がずいぶん涼しくなって、夏用の掛け布団がないと寒いくらいになった。
寺の一人暮らしが長引いて、気が付かない間に随分早起きになった。
境内から参道までの様子を確認しながら朝の散歩をしていたら、今年2回目のマムシを見た。前回の丸々と太ったマムシとは違って胴体が私の親指くらいだった。私の気配を察しているはずなのに参道の真ん中で伸び切って動こうとしない。早朝の地面の温度が敏捷に動けるほどの体温の上昇を支えてくれていないのかもしれない。
お参りのお客もないし、1日で人間に会うとなると自分から町内や近所の町へ出かけるしか無い。一人で暮らしていると、周囲の生き物くらいしか私に反応してくれない。
生き物は正直だから、こちらから危害を加えなければ、安全の距離を維持しながら、付かず離れず彼らの日常が繰り返される。

夏の盛りが少しおさまって、秋の気配に変わりつつある。
もう随分前から、古墓の先祖供養だからと、だいたい毎年この時期に自作の塔婆を持参する大工さんがいる。
まだ8時前に手首のAppleWatchがブルブルと動きはじめて着信を教えてくれた。
「◯◯ですが、今年もお侍さんのお墓を供養してもらいたいんですがぁ〜・・」
「ハイ、どうぞ何時でも良いですよ」
「アレッ?・・・今お寺ですか?」
昨年までは母親が寺で暮らしていたから庫裏に私の居場所がなくて、お盆を過ぎたこの時期には石見銀山の吉田家を拠点に、通勤坊主を繰り返していた。大工さんもそれを心得ていて、私に面会できる時間帯の都合を問い合わせてきたわけだ。
「最近は、だいたい寺に居ますから何時でも大丈夫ですよ!」
「そぉ〜ですかぁ〜・・、それじゃぁ、今から持参しますんで・・・いいですかぁ〜」
「ハイ!どうぞ」
・・・こういう、地域のささやかな仏事の付き合いが8月いっぱいは五月雨に続く。
これからも、古墓の墓参りや、ご先祖さまの永代供養などで出かけることがあって、その間隙を縫って彫刻の予定を入れる。

今週に入って、奥出雲の彫刻展が動き出した。
例年に比べると随分準備が停滞しているが、今年の私の個人事情ではこの遅延も仕方がないことだ。塔婆を書き終わった頃に、印刷が終わった800枚の回覧チラシを営業のおじさんが持ってきてくれた。今までは石見銀山の吉田家を事務所にしていたから、今年になってはじめて万善寺を訪ねてくれたことになる。
少しずつ準備中の仮称「ギャラリーまんぜんじ」も見てもらった。
印刷物の付き合いしか無いから、彫刻の実物を観るのがはじめてのようだった。

どこか近くで鳶が「ピィー!」と鳴いて保賀の谷へ響いた。

2017チラシA3奥出雲 (1)
IMG_2162_20170823035613ce2.jpg
IMG_5743_20170823035614348.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2735-4cc8e3a0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2020-05