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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

工場の一日 

2017/09/26
Tue. 23:10

なんとなく、いつもの今まで通りの生活が戻りつつある。
寺のことも当分は法事もないし、石見銀山の暮らしがしばらくは続けられそうだ。
工場で彫刻制作がはじまった。
搬入の〆切が近いからノンビリもしていられないが、徳島野外彫刻展の出品作を制作しているときよりは少し落ち着いていられる気がする。

今度の彫刻を造るにあたって、過去の彫刻を振り返ってみた。
現在の彫刻に到るシリーズやテーマを継続してそろそろ10年になっていた。
スタートの頃は、今に比べるとずっとシンプルで自分の伝えたいことが小細工もなしにダイレクトにかたちになっていた。
同じテーマで制作を長く続けているうちに、いつの間にかかたちが複雑に錯綜して、本来のベーシックな要素が薄まってしまっていることに気付いた。
そういえば、最近の数年間はやたらと制作に時間をかけていた。
素材と丁寧に付き合って、工法も慎重にタップリと時間をかけて、自分が納得できるほどの完成度を求め、そういうことに終始していたことで、本来もっとも大事にしなければいけない造形の根本を何処かに置き忘れてしまっていた気がする。

彫刻を造り続けているうちに、無駄な欲が積もり溜まってしまうことはよくあることで、今までにもそういうことが何度かあって、それに気付いた時はできるだけ早く気持ちを切り替えてテーマや制作スタイルの更新をしてきた。
そろそろそういう時期が来ていたのかもしれない。
今のテーマである「Landscape situation」にはもう少し考えが残っていて、これをすぐに切り替えることは今のところまだ考えていない。
むしろ、今までの複雑に錯綜してしまっていた無駄な要素をもう一度整理し直して、大事なものを抽出した上で次の展開を考えていこうと思う。
「あの時消化不良で出来なかったから、今回は絶対にそれをかたちにしてみせるぞ!」と、毎回どこかしらなにかしらそういうふうに踏ん張って思うことがあって、それを次に次に引きずってその時々のかたちに置き換えていると結局やらなくてもいい無駄なことをセッセと繰り返して積み重ねていたりするから始末が悪い。
今日も、なんとなくヤバイヤバイと自覚しながら材料取りをしていたのだが、夕方の2時間位ほど自分を見失ってしまっていて、やらなくてもいいことでセッセと続けていた。
どうも自分の様子が違って「無駄に焦っていたりするなぁ〜」と気がついた時は、鉄板がフニャフニャになってまったく緊張感のないかたちが出来上がっていた。
結局、2時間ほどを無駄にしてしまったわけだが、それに気付いたショックで完全に集中力が切れた。
そういう状態で、仕事を続けてもどこかで些細なミスを犯してしまうことがよくあるし、本当はあと4〜5時間ほど制作を続けたかったのだが、思い切ってヤメにした。
さて、この判断が正しかったかどうか・・・結果はあと2〜3日で決まる。
吉田家に帰るとすぐに、ドロドロに汚れた作業着と自分の体をキレイにしてスイッチを入れ替えた。

IMG_2252.jpg

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