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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

霧の三瓶山 

2017/10/30
Mon. 09:00

半日あれば終わる草刈りが雨でつぶれた。
天気のことが相手ではどうなるものでもないから、富山のことから六本木の彫刻搬出の方へ気持ちを切り替えて、ホームセンターに回った。
彫刻の移動に必要な梱包材などを一通り揃えて結界君へ積み込むとそのまま万善寺へ向かった。三回忌法事の塔婆も書かないといけないし、大衣の準備もある。

まったく、我ながら自分は「いったいなにをやっているんだろう?」と思う。
本当のところは、やっぱり彫刻のこととか鉄のこととか、そのことばかりで毎日を過ごすことが出来たら良いと思っているフシがある。そんな人間が一方でお経を読んでいたりするわけだから檀家の帰属意識も希薄になるのは当然のことだろう。

永代供養墓建立の時に自然石へ「道心」と書かせてもらった。
道元さまが大事に思われていたお言葉だということだが、宗門の末席を汚しているナンチャッテ坊主でも、やはりとても大事なお言葉であり、重たい指針と思っている。
彫刻を造りながら一方で道心というそういう大事な気持ちを忘れないでいると云うよりむしろ制作のベースに置き続けるということは、かたちの出来不出来とか造形の構造とかの具体的な表現より何よりも自分の内面に隠されてゆらぐテーマの根本であるのかもしれない。

今年は、春先の彼岸明けの日に母親が死んでからあと、とにかく自分の意思が全く機能しないまま次々あれこれ様々なことが自分の前を通り過ぎている。このままいけば、あと残すところ2ヶ月の間にも何かしら色々なことが起きるのかもしれない。
まず、一番大きく日常の暮らしが変化したのは、この歳になってオヤジの一人暮らしが再開したことだ。
流石に、この30年の間に日本社会は計り知れないほどの成長を続け、生活水準も急激に向上して暮らしやすくなった。万善寺の一人暮らしで時々近所の小さなスーパーへいくと、私と同じようにヨレヨレの親父になった小学校の同級生がお惣菜と半額の弁当と発泡酒を2缶ほどかごに入れてレジに並んでいた。オヤジが一人で暮らしていてもソコソコ食べるに困らないほど楽に暮らしているということだ。結婚する前の一人暮らしの方がずっと過酷だったかもしれない。あの頃は、自家製パン屋さんのショウケースの角に大きめのアルミバットへ山盛りされた食パンの切り落としを、近所のおばちゃんに突き飛ばされながら買い続けていたこともあった。パンもなまもので、かろうじて1週間くらいしか持たないものの、その間の空き腹は苦労しないでまかなうことが出来た。

搬出作業には出雲市から高速バスで移動するので、その途中に富山へ寄った。
今年から島根大学の彫刻研究室絡みの連中が参加してくれて、いっきに出品関係者の平均年齢が若返った。平日は稼ぎの仕事で忙しいから彼らの搬入は休日に済ませなければいけない。旧富山小学校へ到着すると、すでにユキちゃんが待っていた。彫刻の成長にはまだまだ時間が必要だと思うが、彼女はこの半年の間で随分たくましくなった。自分の変化がそのまま彫刻の成長と重みに変わることになれば良いなと思っている。

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