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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

至福の時 

2017/12/07
Thu. 20:16

石見銀山を出発する時は、町並みも乾いて空も明るくて、「寒気団去ったな!」と確信してウキウキしながら銀山街道を上っていたら、トンネルを幾つか越えて、拡幅の工事現場を過ぎたあたりからポツリポツリと雨が落ち始め、結局万善寺の境内へ到着した時は本降りになっていた。土蔵の軒下に組み上げている薪とか、本堂の座の下へ仕舞い込んである廃棄した建材とかを刻んでストーブの薪の足しにしようと、結界君を運転しながら本日のスケジュールを組み立てていたのに・・・山陰の冬はだいたいこんな感じで毎日が過ぎるから、仕方がないとあきらめて気持ちを切り替えた。
年も押し迫って、積み残しの支払いを出来るだけ減らしておこうと、金融機関をアチコチ回ってみたが、結局無いものは無いからどうしようもなくて、通帳を記帳して回ったくらいで用がすんだ。

秋が過ぎて、食料の確保が難しくなったスズメたちが、万善寺古々米を頼って、境内へ帰ってきた。朝のうちに一握りほど器へ投げ込んでおくと翌日はキレイに無くなっている。
これから次の春になるまで、保賀の谷の鳥たちが万善寺の周辺へ集まってくるはずだ。
先代夫婦が健在だった頃は、保賀のカラスにお供えの花を抜かれたり、六地蔵さんの蝋燭や線香を荒らされたり、畑の野菜をつつき回されたり、やたらと悪さされるから二人で朝夕外に出て追い払ったりして大騒ぎをしていた。母親が弱って、私の寺暮らしが増えた頃から、つがいのカラスに声掛けするようにして毎日を過ごしている間に、気がつくと彼らの悪さが無くなっていた。時々鳶と空中戦をしたあとは、だいたい寺の土蔵の屋根で羽を休めて身繕いをして体裁を整えてから何事もなかったように空へ舞い上がったりしている。そういう時も、「たいへんだったなぁ〜、鳶には勝てないか?」などと声掛けしたりしていると、まぁ、人間の言葉の意味まで理解は出来ていないだろうが、彼らにとっても、日常の暮らしの中で気の休まる安全な場所を確保できていることの恩を感じて、無駄に悪さしないでいてくれるのかもしれない。

1年で、秋から次の春までの冬シーズンは、結構スキだったりする。
多分少年の頃からそういう傾向にあったと思うが、デスクワークの関係でこの数年の写真を整理していて、圧倒的に冬シーズンの写真が多くて夏の2倍以上溜まっていることに気がついた。写真の枚数だけで判断できないところもあるが、日常生活で無駄に思えるようなことに楽しみを感じることも多々あったりして、まぁ、要するに吉田は基本的にインドア派であるということなのだろう。
少し前になるが、半年ぶりに吉田家のストーブを焚きはじめた頃、早速薪を炭にしてスペアリブを焼いた。オーブンとバーベキューが入り交じったような感じだが、やはり遠赤外線でジワリと焼き上げた肉の旨味は何にも代えがたい。
今度の冬シーズンから寺の一人暮らしが始まった。秋が始まってまだ残暑が厳しい頃に、本堂の裏の物置の一番奥に仕舞い込んであった火鉢を引っ張り出して、湿気を吸って固まっていた灰を再生して冬支度をしておいた。その火鉢がこのところ連日大活躍だ。湯を沸かしてコーヒーを入れ、網を乗せて冷凍保存の切り餅を焼き、キーボードを叩いて冷え切った指を温め、土鍋を乗せてオヤジ鍋をつつき、湯煎で熱燗し・・・ペンチで殻を割った焼銀杏など最高に旨い。いつの間にか仕事を忘れて至福の時が過ぎていたりする。

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この記事に対するコメント

待つ時間が美味しそうですね。

オーイくぼぐっちゃん #- | URL | 2017/12/16 09:53 * edit *

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