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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

氷塊の時 

2018/02/20
Tue. 23:41

5つ目の寒波が去って、時折思い出したようにパラリと雪が落ちてくるものの、曇り空から日差しが見え隠れする時間も増えて、少しずつ気温が上昇してきた。
それでも普通なら、これで一気に雪が溶けて参道は川のように雪解け水が流れるのだが、今はそれもなくて雪の溶ける気配がない。
まだ、それだけいつもより気温が低いということなのだろう。
井戸水がいまだに凍結したままで緩めた蛇口から1滴も出なくなってもう10日近くになる。「やはり汲み上げのポンプが壊れてしまったのかもしれない」と気にしていたら、お昼を過ぎた1日で一番気温が上昇する頃、突然「ボボッ、ジュボッ、バババッ!!」と蛇口から大きな音がして、それからしばらくしてドバッ!と勢い良くキレイで透明な水が出始めた。
ちょうど、昼食を済ませて食卓を片付けて仕事の書類を広げているところだったから、一瞬何事かとびっくりしたが、井戸水復活とわかって思わず一人で拍手してしまった!これで、ペットボトルの水を使わないで済む。

境内の端に設置した彫刻が、冬の積雪量の定規代わりになっている。
自分で造ったものだから、地上○○cmのあたりにあのかたちがあって、○○cmの場所があの辺で・・・と、だいたいわかっているから、今年の積雪がそれ程でもないということは客観的に推測された。今は、50cmくらいにまで雪も溶けて少しずつ地面の起伏形状が把握できるまでになっている。
石見銀山の田んぼで農閑期のシーズンに個展をしてからあと、2年ほど前までの数年間は、極端に背が低くて地面に張り付いたような形状の彫刻を造り続けていた。
それはそれで、時代に問いかける自分の造形感を具体的に証明するための重要なテーマであって形状であったのだが、その限りなく背の低い彫刻も、制作を続けていくうちに少しずつ先の展開が予測できるようになってきたので、ひとまず、一区切りつけて再考の時を用意するのも良いと考えるようになった。
それが、制作の変化の直接の要因でもあるが、もうひとつに、万善寺の立地環境のことも外せない大事な条件に加わっている。
先代住職の内室であった母親が死んで、名実ともに現住職である自分に世代交代した今、生活の本拠地こそ石見銀山に置いているものの、実質的公的日常の拠点は飯南高原の万善寺へ移ったことになった。そうなると、彫刻も常時自分の身近で存在の条件を具体的に確認することになるから、それまでの、制作テーマを引きずった背の低いばかりの彫刻のままではオールシーズンの鑑賞に耐えられなくなってしまう。自分の造形感の長い流れの中で連続する形状の変化が、今になって少しずつ上へ伸び上がりはじめたというわけだ。
この、少しずつ背が高くなり始めた彫刻にも実は2つの方向性があって、それを自分なりに造り別けながらこれから先の造形のことをじっくりと丁寧にしばらく時間をかけて見つめてみようと思っている。
たぶん、これから造り続けていく幾つかの形状の先には、自分の生涯の最終の着地点が用意されることになるだろう。別段大げさに考えているわけでもないが、それでもそれなりに、今の時代に対する自己表現を彫刻の制作という形状表現をかりて問いかけるくらいのことはしておいても良いかなと思っている。

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