FC2ブログ

工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

雲が下りた 

2018/02/28
Wed. 23:30

1月末の葬儀で隣町の同宗寺院から副導師を頼まれて、はやいもので35日を迎えた。
万善寺の場合は、特に改まって喪主の都合が悪くない限り七日務めを続けるから、それに合わせて毎日のスケジュールを調整しながら49日を迎えることになる。
寺の都合はそのまま住職の都合とシンクロするから、副業で忙しかったり、お檀家さんが多い寺は、七日務めを割愛される所も多い。それで、副導師は特に菩提寺や喪主から依頼されなければそのまま何もしないで49日の法要を迎えることがほとんどだ。このたびの喪主さんは、少しほど万善寺とつながりがあってまんざら無視もできないから、せめて35日だけでもお経を読ませてもらおうと、午前中に出かけた。
このところ良い天気が続いて放射冷却現象が激しくて、早朝の参道は前日の雪解け水が見事なアイスバーンになっている。お地蔵さん横が特に厳しいから通勤坊主の最後の難所になっていて一瞬躊躇したが、荷物のこともあるし結界君のシフトチェンジとアクセル操作を信頼して思い切って参道を登ることにした。

改良衣に着替えてお経本などを準備して喪主家へ到着すると、そこはまだ万善寺以上に雪深くて別世界だった。聞いてみると、いちばんひどい時でマイナス15℃まで下がったそうだ。万善寺がマイナス10℃で大騒ぎしていたことなど、どってことない冷え込みだ。そんな厳しい毎日をたった一人で新亡のお骨とお位牌さんを守っていらした。
「菩提寺さんはお参りされますか?」と聞いたら、お葬式以来「一度も連絡がない・・」ということだった。市街地の楽な暮らしに慣れてしまうと、雪深い山里まで毎週出かけることも気おくれしてしまうだろうし、菩提寺の方丈さんの気持ちもわかる気がする。
私が久しぶりの訪問者だったようで、お経の間中落ち着き無くドタバタとお茶の支度をされて、「まぁまぁ、お茶でも一杯!」と引き止められるものだから、無下に断ることも出来なくてお茶飲み話に付き合った。
「ゆうべ、お母さんの夢をみたんですよぉ~・・お葬式からあと、何もなくて普通だったのに、はじめてお母さんが夢に出てきたんですよぉ~・・あれからずぅ~っと一人だし、なんだか怖いやら気持ち悪いやら、寝られませんでしたぁ~~」と、そんな話が絶え間なく続いて、せいぜい20分くらいで終わるはずの七日務めが1時間近くにまでなった。
坊主の私でも、死んだ身内のこととなると、時々フッと思い出すことがよくある。自分の気持の問題だから、それはそれでどうしようもないことだ。自分の心残りが多ければそれだけ思い出すことも増えるだろうと私は思っている。十分なことはできなかったかもしれないが、できるだけのことはしてきたつもりだとある程度納得できていれば、故人との辛かったり嫌だったりした思い出もそのうち懐かしい思い出に変わっていくはずだ。商売柄、法事の斎膳の席が故人の思い出で盛り上がることもよくあるし、そういうご法事はあとになってとても豊かな気持ちになれる。

しばらく続いた良い天気もそろそろ限界のようで、お昼すぎから急に雲が下がって、それからすぐ雨になった。
夕方、万善寺から石見銀山へ帰ろうと支度し始めたら、突然突風が吹いてきて、雨と一緒に縁側の窓ガラスを叩き始めた。すでに春一番は終わっているから、こんどの強風は春二番(ってあるの?)くらいになりそうだ。

IMG_2759.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/2891-b3d78bdf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2019-05