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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

トイレの絵本 

2018/03/28
Wed. 23:15

キーポンの部屋へ転がり込んで数日過ぎた。
その間のほとんどが早朝出勤で夕方6時くらいまで仕事をしている。
ついこの前まで、アマエンボォーのガキだと思っていたが、もう立派な社会人になって働いている。

彼女は東京で働くようになってから、まだ一度も石見銀山へ帰省していない。吉田家はそういうことで特に面倒なことは言わないほうだから、帰省したければ自分で何かの都合をつけて考えるだろう。
オヤジのこういうスタンスはキーポンに限らないで、吉田家の家族みんなに浸透している。ワイフに至っては、東京生まれの東京育ちなのに、自分から進んで実家を恋しがることもないし、こうして彫刻の用事で上京するたびに「一緒に行こうよ・・」と誘っても、だいたい幾つかの用事を理由に断られる。

吉田家の90%は朝シャワー派で、残り一人(ボクのことです!)だけが夕方のまだ世間が明るいうちから風呂に防水スピーカーを持ち込んでチャポリッと湯に浸かる。だから、どうも朝シャワーになれないのだが、居候も長くなるとだんだんそれに慣れてきて、シャワーにあたりながら歯磨きをするようになった。じゅん君が吉田家へ帰ると、歯磨きチューブが風呂に移動している理由がわかった。
自分の着替えを洗うついでにキーポンが洗濯機へ投げ込んでいるモノも一緒に洗って、展覧会場へ出かける前に部屋干しをしておく。せめてもの居候のお礼と思っているが、それも毎朝になるとなんとなく習慣づいて、狭い部屋の動線がシンプルになって整理されるようになってきた。
日常の避けられない習慣も、こうして状況が変化するとかえって新鮮に思えて苦にならない。それでもせいぜい1週間位が限界で、あとはしだいに日常の形式化されたパターンに組み込まれて気持ちの揺れもなくなっていくのだろう。

キーポンは、都内の保育園で保育士をしている。
今の仕事を始める時に、私も含めて家族の殆どが「どうせだったら幼稚園の方が良いよ」と、文科省管轄下の先生を勧めた。本人は、終始一貫して家族の提案を無視して保育士一本でブレないまま自分で就職を決めた。
彼女が自分で決めたことだから、彼女なりの理由でもあるのだろうと思いつつ、それを聞き出すこともなく過ぎたが、いまだになっちゃんがしつこく「なんで幼稚園にしなかったの?」と云い続けていて、昨夜一緒に飲んでいる時、やっとその理由を話してくれた。聞くと、なるほど最もなことで、学校で色々な勉強や実習をしながらそれなりの取捨選択をしてよくよく考えて自分の働く場所を決めて来たのだとわかった。
「幼稚園はゼロ歳児から見れないから・・」
キーポンはゼロ歳児からの成長を確かめられることが働く楽しみになっているようだ。今になって彼女の知られざる一面を見た。
部屋のトイレには彼女の工夫で絵本がオシャレにディスプレイしてある。開くと朝礼進行の小さなメモが挟んであった。彼女にとっては大切な忘れがたいある日の仕事の1シーンだったのかもしれない。

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