FC2ブログ

工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

棚経 

2018/08/04
Sat. 23:42

自分の不摂生がすぎているのか、体力が落ちているのか、その両方か・・・
とにかく、身体が上手く動かないし昔の古傷から始まって膝や足首を中心にお尻から腰まで下半身が四六時中痛くて棚経や手間替え随喜がとてもつらい。

万善寺のお檀家さんは、飯南高原から県境を超えて広島県の2軒ほどを含め、とにかく、お経を読むより移動時間のほうが長いことがほとんどで、棚経の効率がとても悪い。
今日は、広島県との県境にある大万木山の島根県側入り口あたりまで30分ほど銀くんを走らせて、午前中いっぱいかけて5軒の棚経をおつとめする。
数年前までは7軒だったが、1軒は介護施設へ入所されて空き家になり、一軒は松江へ家を持たれて転居された。残り5軒のうち、1軒はおばあさんが亡くなってからあと空き家になったが、近所に暮らす娘さんが棚経の日は玄関を開けてお仏壇の準備をされている。その空き家にあるお仏壇には、その家の初代から4代までのお位牌さんがお釈迦様の両隣へ安座されてあるが、次の年回法事が済んだところで万善寺の舎利棚殿へ預かって永代供養へ繰り入れることになっている。
そんなふうに毎年数軒ずつ棚経の軒数が減っていて、これから先、今より軒数が増えることは100%無い。

棚経の本来の意味というか、役割はどういうことであったかというと、年に1度巡ってくる盂蘭盆会にあわせて、それぞれの家へご先祖様をお迎え供養するための棚を縁側に用意して、いつもはお仏壇でお釈迦様と一緒に安座のお位牌を遷座し荘厳を整え、雲水修行中や近所の方丈さまにお経を読んでもらうことで、ご先祖さまの御蔭をもって今の自分が生かさせていただいていることの感謝を伝えるという趣旨が隠されている。
だから、棚経のお宅には、必ずその家のご先祖様がお仏壇に安座されていることが必須の条件となる。そもそものお仏壇は、ご先祖様の安座されるお宿的役割である以前に、御本尊様に安座していただいてその家で暮らす全てのモノをお守りいただくための心の支えの聖域としてある。だから、例えば分家新築でまだお葬式のない家にも仏教徒であれば、まずはお仏壇を用意して御本尊様をお祀りして荘厳を整え、朝夕に御本尊様をお参りするコトが至極当然の常識であるわけだ。

俗説か通説かよくわからないが、棚経は時の政権から命を受けた坊主が隠れキリシタンのあぶり出し作戦としてはじめたというようなことも云われているらしい。そういう密命を坊主が受けて従った時点で、宗教家思想家としての立場を自ら捨てて政権に身売りしたことにもなるわけで、そういう信心の根本を全うできなくなって俗に染まった坊主もかなり沢山いたということなのだろう。
門前どころか門内の小僧から始まった価値も重みも無い私のような家業在家坊主の仏教観で偉そうなことなど言えるわけもない。静かに目立たないように波風を避けて慎ましく職業坊主の毎日を乗り切るだけのことだが、特に毎年夏の盆月はいつも以上に坊主の付き合いも増えて気持ちが沈んで無意識に顔が曇る。たまに石見銀山へ帰ると、ワイフが敏感にそれを感じてすぐに気が高ぶったりするものだから、よけいに落ち込む。彫刻の工場がもう少し近くならそちらへ逃避も出来るのだがなかなかそうもいかない・・・

IMG_8453.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 0

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/3048-c432716a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

2020-08