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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

チャチャッと彫刻 

2018/09/19
Wed. 23:21

数年前から出品をさせて頂いている徳島中央公園の野外彫刻展は、だいたい9月のお彼岸が終わったくらいからスタートして11月のはじめまで会期が続く。

今年も彫刻制作を計画しつつ奥出雲の小品彫刻展や寺のことをしていて、もう、これ以上制作の取り掛かりが遅れると彫刻にならないくらいまでのタイムリミットギリギリまでかたちの考えを引きずっていた。
こういう制作スタイルは、もうずいぶん前から決まってしまっていたようなところがあって、何かの拍子で何かに躓いたりすると、もうそれでその時の彫刻は完成しないまま終わって、関係各所に多大な迷惑をかけることになるのだが、一方、自分では気持ちの何処かに「そうなったら、それはそれでイイや・・・」と、自分の彫刻をクールに投げ出してしまっているようなところがある。
「なんか、正ちゃん、彫刻造るの早いから、ありがたみに欠けるわよね!」
近所の衣料雑貨会社オーナーのトミさんには、私がいつもチャチャッと彫刻を造っているふうに見えているようで、いつもそう言われる。
「構想はエンドレスで1年中続いているから、彫刻はそれでズッシリと重たくなってるんですよ!」
さりげなく軽く返しているが、内心まさにそのとおりで、今度の徳島などは1年どころかもう何年も前からいろいろ工夫して試作したりしながらギリギリのところで踏ん切りをつけた彫刻になるはずなのだ。
他人には気づかないところで、見えない工夫をしているから、制作上の工程は前後や裏表の失敗は許されないことで、そういう場面で些細なミスを一つ犯すと、それだけで完成の予定がかなり狂ってしまうほど繊細であったるもする。

随分前のこと・・・まだ、東京の展覧会場が上野公園の都立美術館だった頃、何時になくたっぷりと時間をかけて、その上見習いの助手志願の娘に制作の一部を手伝わせて、そのときに造りたいかたちをひたすら徹底的に造り込んでコテコテの彫刻に仕上げたことがあった。
それまでやりたくても出来なかったことが出来て十分に満足できるほどの彫刻になって晴れ晴れと最高の気分で搬入して陳列展示してその夜は打ち上げの美酒に酔いしれた。
次の朝、会期の始まった会場へ出かけて自分の彫刻の前に立つと、どうもいつもと違った違和感のようなものを感じて、前日の高揚が一気に消沈した。
記録の写真を撮るなどして島根へ帰って現像に出したフィルムを見直してみると、面倒臭いほどデコデコといらないものばかりがアチコチへベタベタ張り付いて最低の彫刻になっていた。それが、結局は会場で感じた違和感の元だと気づいたときはすでに遅し・・・
未だにあのときの失敗を時々思い出すとゾッとして寒気がする。
時間も手間もあればあるだけ良いというものではない。
時間があるなら、ギリギリタイムリミット直前までかたちの推考を繰り返すことに使ったほうが良い。手間があっても結局は限界まで自力で乗り切る覚悟がないと、自分の責任の着地点が狂ってしまう。
年齢相応の表現を常に客観的に正視できる自分であり続けたいと思っている。

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