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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

次の彫刻は・・ 

2018/09/22
Sat. 23:13

意識の遠くの方で渓流の音がエンドレスで聞こえている。
巨岩の隙間を縫うように流れ落ちるいくつもの小さな滝が、ソコソコで滝壺をつくっていて、それがまた次の小さな滝になって張り出した岩を叩いて飛沫が散っている。

銀くんのシートを倒して車中泊した。
車中泊は先代の結界くんで慣れているから全く苦にならない。それに、島根に比べると岡山はずいぶん暖かくて、防寒用のシュラフを使うこともなかった。
とにかく、高級な旨い酒の御陰でスッキリと気持ちよく目覚めた。
渓流の音がうるさくて我慢出来ないほどになって、完全に覚醒した。
顔を洗って歯磨きをしたいと思ったが、近くに適当な浄水が見当たらなかったから、途中のサービスエリアまで我慢することにして銀くんのキーを回した。
由加山から萬善寺まで、ゆっくりと走って3時間ちょっと。結局、顔を洗うのもめんどくさくなって、そのまま寺まで帰った。

七日務めの用意をしていたら、施主さんの親戚から着信が来た。
だいたい何時くらいになるだろうかの問い合わせだったので、今から寺を出かけようと思っていることを伝えた。
お母さんが永眠されてからあと、その施主家では身体が不自由で歩けない息子さんが一人で暮らしている。訪問介護が時々来るようだが、トイレのことは一人で這って済ませているらしい。
頭はしっかりして口も達者で、それにプライドが高すぎるくらい高い人で、そういう性格のこともあって、親戚の方も一歩下がって様子を見ながら付き合っている感じだ。
四十九日が近いし、息子さんは一人で何も出来ないから、時期を見て寺へ問い合わせが来たふうな様子だった。

「ロウソク線香は、火事が怖いけぇ〜点けんようにしとるけぇ〜・・」
奥の間の床へ四十九日までの仮祭壇を用意して、1週間毎に七日務めのお経を読む。
息子さんがああいう状態だから、花を替えたり墓参りをして七本塔婆の世話をしたりすることはすべて私が代行で済ませている。マッチは湿気って火がつきにくいし、香炉の灰は湿気って立てた線香が最後まで灰になってくれない。
ふすま一つ隔てた隣の部屋でほとんど寝たきり状態の息子さんと襖越しに会話をして、親戚さんからの電話のことなどを伝えて四十九日の法事の手配を済ませてからお墓参りをした。縁側のガラス戸も、私がお邪魔する七日務め以外では開くことがないのだろう、1週間分の空気が部屋中へ停滞して湿っぽい。

住職の坊主家業と彫刻家の切り替えがあまりに頻繁で、なかなかスッキリとスイッチが切り替わらなくて困る。
岡山からの帰りは、銀くんを運転しながら延々と次の彫刻の制作工程をシミュレーションしていた。彫刻を一つ造る前に、気持ちの中ではもうすでにほぼ完成した状態でいる。タイトルはもう決まっていて、それが今度の個展のテーマになるはずだ・・・

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