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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

ノッチ帰る 

2018/09/25
Tue. 23:49

アジアを旅行していたノッチが関西空港へ帰ってきた。
そこからバズに乗って直接出雲市まで移動して、石見銀山の吉田家まで帰ってくる。
私の方は、ちょうどお地蔵さんの縁日と重なって萬善寺のことでドタバタしていたから、ワイフがスケジュールを併せてノッチを出雲まで迎えに行ったりすることになった。

ノッチと逢うのは久しぶりのことだ。
私の方は日本の近場をグルグルと行雲流水の暮らしが続いているが、ノッチの行雲流水はスケールが違う。
彼女が小さい時は、何かにつけてプリプリと機嫌の悪いことが多かった。
私がノッチのお風呂当番でよく彼女の髪を洗ったりしていたときも、シャワー嫌いでだいたいいつも抵抗して狭いお風呂で大騒ぎだった。中学校に入った頃から反抗期になりはじめて、毎日気難しくふてくされた顔つきでいた。高校のときに1年ほどケンタッキーのルイビルでホームスティした。彼女が留学をしたいと云ったときに、学校を留年することになるだろうと密かに覚悟していたが、そのころからノッチの自立心が急激に芽生えて、必要最低限の努力で最大限の効果を得るための処世術習得がめざましく成長した。気がつけば、自分で進路を決めて留年することもなく大学まで卒業して、シンガポールの仕事を決めていた。

昨今のカオスジャパンで、ガチガチに凝り固まったクソ真面目な生き方より、ずっと自然で自分に正直でいられて、それでソコソコ生活に困らないほどの仕事が出来ていられるだけでもたいしたものだ。
いつまでも親離れできないで反抗期が延長したまま親に甘えて我儘放題の大人になるよりは、少々ガキっぽくて思慮深さに欠けて周囲に迷惑をかけるようなところはあっても、サッサと親離れして自立して、なんでもおおよそ一人で片付けてしまうような大人になったほうが面白い人生を過ごせるだろう。
我が子だから親の思い通りに育ってほしいなどと、親の期待が負担になるような人生はつまらない。自分の一生は一度だから、死ぬときになって後悔しないように生きてほしいと、強いて言えば、それがオヤジの私の願いである。

寺の用事を片付けて吉田家に帰ったら、ネコチャンズがご主人様を出迎えるわけでもなくそれぞれ勝手に好きなところでゴロゴロと留守番をしていた。猫に主従関係は成立しない・・・というより、むしろ私など「ニャァー!」のひと鳴きで戸の開け締めをしたりご飯や水やトイレの世話をしたり、彼らにこき使われている。そのネコチャンズが突然それぞれムクリと起き上がって、クロは土間の入り口へ走り、シロは珍しくワイフの寝室へ入り込んだ。
何事かと思っていたら、それからしばらくして「ただいまぁ〜〜!」と、あの懐かしいノッチの声が聞こえた。
小さなコロコロトランクひとつ持ってアジアから吉田家に帰ってきた。
「クロ!ダメ!ダメよ!!」
脱走を試みたクロを叱りつけるワイフの声がいつにもまして大きかった。

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