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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

かたちが見えた 

2018/09/28
Fri. 23:53

工場から帰ると家は真っ暗だった。
いつものように、ネコチャンズはボクを無視している・・・
ワイフが帰ると車の音を聞いただけでクロは土間の格子戸めがけてすっ飛んでいくし、シロはフギャフギャ甘え泣きしながら何処かから湧き出てきてソワソワと落ち着かない。
アイツラは人間のように嘘もつかないし裏表もないことは解っているから腹も立たないしガッカリもしないが、少し寂しい・・・
仕事の汚れをシャワーで流して、麦とホップをプシュッとやったところで、ネコチャンズがドタバタとうるさくなった。どうやら、ワイフが帰宅したようだ。
「ノッチ帰っていったわよぉ〜」
「今朝、出掛けにそんなこと言ってたから・・・ヤッパリ帰ったんだ・・」
ノッチの帰省はなんとなく慌ただしくてにぎやかで、これからやってくる台風のようだった。

しばらく前に、島根県の彫刻仲間で学校の先生をしている木彫の作家からメールが来た。
奥出雲の小品展の案内を送ってあったからそのことかと思ったら違った。
もう何年も一緒に東京へ彫刻を出品していた彫刻仲間だったのだが、最近は制作から遠ざかって出品もしていなかった。
公募の美術団体はどこも会費を納めて搬入出や美術活動の情報提供の便宜を受けたりしながら制作活動を続けることになる。それが、彫刻も造らないし出品もしないしで会費を納入しているだけでは、なんとなくお金の無駄に思えるものだから、何時だったか、直接本人にそのコトを云ったことがある。
その時は、制作の時間がないとか、またそのうち制作を再開するつもりだとか、そのような話だったが、私には、なんとなく彫刻制作に対する意欲が薄らいで、彫刻表現の方向性を見失っているように思えた。
いずれにしても、こういうことは本人の気持ち次第で決まることだからまわりがえらそぉ〜にドウコウ言えるものでもない。それでその後とくに何も接触のないまま過ぎていたのだが、小品彫刻展のように島根で彫刻関連の何かをする時は一応情報提供だけは続けていた。

メールは、公募の団体を退会する旨の内容だった。これから先、また彫刻制作の条件が整ったら制作を再開するとあった。
本人の事情は本人でしかわからないことだが、私としては少々残念ではある。彼が初出品をしたり初入選をしたりした時から長い間同じ展覧会へ搬入出の寝食を共に苦労してきたわけで、そういうことがふと思い出されて寂しさもある。
一方、こうした避けることの出来ない淘汰の世界は表現者の一人として強く自覚しておかなければいけないことだと思う。自分の表現の枯渇は自分の日頃の精進の蓄積で回避できることだ。表現の手段は彫刻だけではないし、他に彫刻以上の魅力ある表現手段が見つかればそれでいい。
「ひとまずはそういう期待を忘れないでいよう・・・」
溶接をしながらそんなことを思っていた。彫刻制作は今の処だいたい順調に進んでいる。

IMG_3389.jpg

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