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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

彫刻事情 

2018/10/08
Mon. 23:48

曇で風が少し強いように感じるが、台風の影響ではない気がする。
時々お昼の休憩に使っている海岸は、工場から5分位のところで、1年の数カ月は石の海岸になる。9月に来た時は砂浜海岸になっていたが、今はほんの少し申し訳程度に小石が戻っていた。

六本木の彫刻絡みのことで友人のHさんからメールが入っていた。
今年は島根から4人の出品があったが、難なく審査を通過したようだ。昔一緒に彫刻出品をしていた仲間も結婚で東京へ行ってから、久しぶりにテラコッタの胸像彫刻を出品してくれたらしく、「なかなか品のある良い彫刻を造っていた」とメールにあった。
Hさんは、出品歴が私とほぼ同じで、もう35年位は続いていると思う。委員に推挙されてからでも10年にはなるはずだ。彼は基本的に具象彫刻の作家で、石彫や限りなく本焼きに近いテラコッタ彫刻を制作している。野外会場へ彫刻を展示しはじめた時期が私とだいたい同じで、それ以来、どの作家よりも親しくお付き合いすることが増えた。私の方は、島根の田舎で鉄を使ってどちらかといえば抽象がかった彫刻ばかりを造っているから作風も感性も全く違って、特にコレと云った造形の共通点もないし方向性も違うのだが、なぜか気の合うようなところがあるようだ。自由気ままでわがままな会員の吉田とは、あまり親密にならないほうが彼の今後の為だと思ったりもするが、まぁ、性格も頭も良くて事務仕事もできるし、それにもちろんテーマのしっかりと見える良い彫刻をコンスタントに発表している実力者だから、今後、組織の上を見るような時期になればそれはそれで付き合い方も変わってくる時が来るだとうと思っている。
メールには「全般に彫刻が小さくなって出品点数も減った・・・」とあった。
世間の景気は上向いているようだが、美術界や文化事業の方は未だに冷え込みが続いているようだ。

この近年、自分の周辺の彫刻事情が落ち込んで、昔のように見惚れるような刺激的な造形をたくさん見る機会が無くなってきた。まずは、自分の目が曇って感性も鈍って自分自身が劣化してしまってきたのかも知れないと思ってみたりするが、それでも、一方で今の造形力の低下は自分だけのことではない気がする。各種大賞展と違って公募団体展は出品作家の固定や継続が組織の力量や特色につながる。それぞれの組織で造形の方向性が微妙に違うことも審査の方向性と連動する結果だと思う。審査員の力量は組織を構成する作家一人ひとりの造形力に反映されるから、審査員だからといっていいかげんで適当な制作に走ってしまわないよう、終始徹底的に自己管理を厳格にし、常に最高の造形表現を目指すことが大事なことだ。出品者はそういう審査員の背中を見ながら制作の力量や彫刻の魅力に刺激を受けて自らの彫刻制作に還元することを目指しているはずだ。
私が公募団体展へ彫刻を出品し始めた頃は、作家歴の浅いアマチュアの若造と彫刻界の重鎮とも云えるような凄い彫刻を制作する審査員との距離がずいぶん近かった気がする。今はお互い世間のコンプライアンスとかハラスメントとか、そういう面倒臭いことに縛られてずいぶんと人間付き合いも難しくなっている。表現者の集団は本来もっと過激であるから新しい発見もあって感動もあって、そういう刺激が制作や作品に反映されているということ・・それが正常と云えるような気もするのだけど・・・ボクは・・・

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