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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

搬出の日 

2018/10/31
Wed. 23:46

搬出の日、少し時間の余裕を持って六本木の美術館へ行った。絵画も含めて、彫刻の会場をあらためてもう一巡しておこうと思ったからだ。
彫刻の搬入出は島根県から共同搬送していて、最近はストウさんが一人で搬入作業を引き受けてくれている。陳列展示は自分の彫刻のことで余裕がなくてじっくりと作品鑑賞が出来ないままだし、会期初日は知り合いの彫刻家もたくさんいるし、展覧会を見に来てくれる知人もいて1日がアッという間に過ぎて帰りの高速バスに飛び乗る。
結局搬出作業をする前の数時間しか落ち着いて会場を巡ることが出来ない。

前々からなんとなく気づいて思っていたことだが、この近年具象作品が増えて抽象が減った。
美術造形の世界では、そういう流行があるのかも知れない。
私が展覧会へ出品をはじめた頃は抽象彫刻がたくさんあったし、絵画も抽象の現代美術が集まった展示室が独立してあって楽しめた。
具象が嫌だとは思ってもいないが、やはり自分としては抽象が好きだ。
想像というかイメージというか構成とかバランスとか素材とか、とにかく作家それぞれの表現に気持ちが揺れる要素がたくさんあって見ていて飽きない。
自分はそういう嗜好が強いから彫刻を造っていても、具象的傾向へ偏っていくとどこかしら説明的要素がチラついて落ち着かないし、ひどい時は制作の途中で仕事に飽きてしまって気持ちが全く入らなくなっていたりする。
こうして何十年も似たような彫刻を造っているわけだから、自分で気づかない間に自分のスタイルが出来上がっているのかも知れないが、一方で、まだ自分にとっての未開の造形領域が山のように存在しているふうにも思えて、ナニカの端っこがチラリと見えたりすると、もう鳥肌モノで震え上がるような感動に包まれることがある。そういうことが繰り返されて、その感動のいくつかがジワジワと時間をかけて何かしらのカタチにかわっていくようになるプロセスが楽しい。

六本木の野外彫刻展示会場は、比較的抽象系の彫刻が多く集まる。それでも、最近は作家の定着が進んで風通しが悪くなってしまった。そう感じるのは自分だけのことかも知れないが、どこかしら展示の無風状態が感動の停滞につながって新鮮な活性が感じられなくなった。自分の彫刻を棚に上げて偉そうなことだと思ってしまうが、こればかりはどうも仕方がない。
今年は久しぶりの個展が控えていて、その準備がすでに始まっている。ちょうどうそういう時期だから余計に自分の造形感が敏感になっているのかも知れない。
このところ、半年ぶりくらいに工場通いが続いていて、自分の一日のスケジュールが彫刻の制作を中心に動くようになってきた。久しぶりのことだ。
さすがに年齢のこともあって昔のように無理が効かなくなってはいるが、一方で、過去の彫刻テーマを再考しながらそれをもっと掘り下げて見つめ直す良い機会でもあるし、目が覚めている時は、メシの時もトイレや風呂の時も、四六時中彫刻のことが頭から離れないで考えられている。
子供の自立や両親の他界を経て、どこかしら身軽になったからかもしれない。

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