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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

三界萬霊 

2019/01/14
Mon. 23:57

たぶん、万善寺の現住職(ボクのことです!)が保賀のとんど祭でお経を読むようになってからはじめてのことだろう・・・こんな良い天気!
お正月の月半ば頃は、だいたい周囲全体雪景色で、暴風雪が続いていたりするのに、今年は高層の筋雲がひと刷毛浮かんでいるくらい。
風が少々強くて大般若経の経典をめくることが出来なかったくらいどぉ〜ってこと無い。
とんどのお焚き上げも一瞬で煙に変わって、天にたち昇っていきました。

お昼からは保賀の新年会がはじまるので、万善寺住職は急いで寺へ帰って大衣をたたんで自由服に着替えていると、すでにみんな集まって準備万端「方丈さんを待っとりますけぇ〜ねぇ〜」早く来い!と電話が入った。
一升瓶を1本とお供えしてあった羊羹の箱を抱えて集会場へ行ってみると、一番上座が空けてあって「方丈さん、はよう座って、はようはよう!」と急かされた。
たいして偉くもなんともないナンチャッテ坊主ごときが一番上座へ座らされるのもどうかと思うが、先代からの慣わしもあるので気にしないことにした。

「墓地の端っこに石塔がありますがぁ〜?うちの宗派じゃぁ見かけんですが、禅宗さんのお墓にゃぁ〜だいたいありますがぁ〜?ありゃぁ〜、なんちゅうて書いてありましたかいねぇ〜、サンやらマンやら字があったような??・・・」
この2〜3年のうちに相次いで町内の長老クラスが他界され、一気に長老格へ駆け上った感のある中組のおじいさんが、私の目の前で一杯やりながらしきりに質問される。どうも内容がよく飲み込めないでいろいろと苦労しながら話の糸を繋いで、やっと「三界萬霊」にいきついた。絶対!というわけでもないが、確かに浄土真宗さんの多い飯南高原では、墓地に三界萬霊塔が建立されることが少ない気もする。
「あぁ〜〜、それ、サンガイバンレイね!・・ハイハイ・・あの石塔は信心供養の気持ちの現われですから、あまり宗派は関係ないと思いますけどねぇ〜」と、だいたいの意味をおじいさんがわかりやすいように解説することになった。近所で暮らしていても、こうして面と向かって会話することなどめったに無い事だ。なにか新年会で昼間から気楽に飲み食いして、寺へ帰ってバタンキューを決め込んでいたのに、それどころではなくなった。

「三界萬霊」の発想そのものは、宗教的形而上において抽象性レベルの高いところで定義づけされていると思う。それをどうやってわかりやすく形而下の具体的要素に置き換えて解説するかとなると、ナンチャッテ坊主は役不足だ。とにかく、大汗かきながらアレコレ手を変え品を変え話してみたが、おじいさんが納得できたかどうかはわからない。
坊主的解釈でいうと、色界、無色界、欲界の三世界を意味付けることが多いと思うが、この解説がなかなか至難の業でボクには無理・・なので、おじいさんにはわかりやすく過去現在未来の三世界のことを云うのだと話しておいた。
今の自分のこともよくわからんのに、前世がどうとか来世がどうとか考え始めたら夜も眠れなくなる。まずは三界萬霊塔を建立して「三世界全部ひっくるめて供養信心しておけば間違いはないのだ!」というわけ!・・ずいぶん乱暴なことだが、そもそも抽象表現の根本は「如何にして単純化を追求するか!」ということではないかとボクは思っている。

IMG_2821.jpg

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