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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

あのころ 

2019/01/31
Thu. 23:32

彫刻の梱包は結局1日で終わらなかった。
「手伝いましょうか?梱包・・」
ショップのスタッフが気を利かせてくれたが、ありがたく断わった。
信用していないわけではないが、やはり彫刻梱包のことはアマチュアにはまかせられない。時間はかかっても、いずれいつかは必ず終わる作業だとわかっているから、特にイライラもしないし、それになによりボクはとってもヒマで時間だけはタップリあるのだ!
「今日はお昼すぎで仕事終わるから、それから会場へ顔だすね♡!」
ワイフが、出勤前にそう言っていたから少しだけ彼女を期待しているところだ。

最近の小品彫刻展は、年々抽象の彫刻が減っている。
絵画の方は、かなり前から純粋抽象をほとんど見ることが無くなっている。日本の美術界全体が絵画彫刻問わず具象へ傾いて、知らず知らず作家の目はそういう流行を追いかけているのだろう。
具象抽象平面立体各種素材表現技法なんでもひと通りそれなりの研究表現が出来て、それをベースに取捨選択して個人のオリジナルな表現を絞って追求するところに美術家の個性とか作品の斬新が醸し出されて、それが面白い!・・・と思うのだが・・・

雪が降らないといっても、飯南高原はそれなりに彼方此方で消え残った雪の残骸を見かける。万善寺もまだ境内に屋根からずり落ちて固まった雪が山になっている。
年末から年始にかけて少しずつ溜まった各種のゴミを処分したいのだが、銀くんはやっと境内まで乗り入れることができるくらいで、簡単にゴミの積み込みをするにはまだ雪が多すぎる。
時期が来たら一気に片付けようと物置代わりに使っている離れへ集めてあるゴミの山を整理していたら、学生の頃に描きためたクロッキー帳を見つけた。
1冊100枚綴りの片面しか使わないで描き続けたクロッキーは1000枚を軽く超える。
毎週1回の予備校主催クロッキー会でタイムキーパーのアルバイトをしていた約1年半で描き続けたものだ。タバコ一箱程度の時給は安いものだったが、お金をもらってクロッキーができるわけだから、なかなか美味しいアルバイトだった。
懐かしくてパラパラとめくってみると、今の自分よりずいぶんと描写力がシッカリしている。それぞれのクロッキーに、描画の主題を決めているところが伝わってくる。純粋に素直にモデルさんと向かい合っていた。きっと、絵を描くという行為が楽しくてしょうがなかったのだろう。絵を描くということくらいしか表現の選択肢が無かったのだろう。まだ立体の実在に出会いその魅力に引き込まれてしまう前の頃だ。

具象彫刻を梱包していて、あのクロッキー帳のことをなんとなく思い出していた。
立体にのめり込んで、鉄と出会って、たくさんの技法を知って、未知の表現に悩み、数え切れないほどの失敗を繰り返して、気がつけばもう身体も思うように動かないジジイになって、指先の感覚もなくなってドローイングの線もフラフラでヨレヨレ・・・まぁ、それでもそれなりに未だに彫刻の造形が枯渇していないのも、あの頃形態の具体に正面から向き合ってセッセと脳みそを回転させていたからだという気がしないでもない。

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