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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

彫刻家Hさん 

2019/03/08
Fri. 21:46

3月3日の桃の節句は前日からの雨がまだ残っていて、ロフトの天窓から入り込む朝の日差しはいつもよりずいぶんと弱々しかった。

最近ほぼ毎晩のように私の近くで寝ているクロが、まだ夜の明けきらない早朝から起き出して「メシくれよぉ〜!」と催促鳴きを繰り返しながら周囲をぐるぐる回り始める。
ご飯係はワイフの仕事になっているし、ダイニングテーブルの脇にあるネコチャンズのお食事コーナーはワイフの寝室が近いから「メシくれよぉ〜!」の催促は彼女の方へ回ってもらいたいのだが、何故かわざわざロフトで寝ているボクを起こしに来る。
しばらくは無視して寝ているが結局根負けしてゴソゴソと起き出して、まだおぼつかない足元を気にしながらゆっくりと階段を降りて土間にある踏み板をまたいでリビングの隅にあるお食事コーナーへたどり着いて一握りのご飯をネコ茶碗へ放り込んでからトイレに入って焦点の定まらないままブックスタンドの文庫本の文字を追いかけながらオシッコを済ませる。
いつもなら、そうこうするうちにワイフが起きてきてお互いに軽く朝の挨拶を交わして、私はまたロフトの布団へ潜り込んで二度寝を決め込む・・・という恒例のパターンが繰り返されるのだが、今年の桃の節句は特別なスケジュールが決まっているので、ベッドメーキングを済ませると、少し無理をしてそのまま起きておくことにした。

わがままで身勝手な彫刻家吉田正純の何処がいいのか、もうずいぶんと長い間上京のたびに面倒がらずに付き合ってくれている彫刻仲間のHさんが、わざわざ吉田正純鉄の彫刻展を見に来てくれる。
彼は埼玉に在住で、具象彫刻の作家。素材は主に粘土や石。だから普通なら主に鉄ばかり使ってどちらかといえば抽象彫刻の吉田と表現上の接点があるわけでもないのだが、なにかしらどこかしら気持ちの通ずるものがあるようで、大勢の彫刻家の中では、裏表のない一歩踏み込んだ会話が成立する唯一の彫刻家であり友人であると私は思っている。
さて、彼の方は吉田のことをどういうふうに思って付き合ってくれているのかわからないが、彫刻界での友人知人の少ない吉田からすると、Hさんのブレのない造形観や表現上の技工に流されない彫刻に対する真摯な姿勢がとても素敵にみえる。それに、だいたいが自己主張の強い協調性の欠けた彫刻家どもの組織にあって、とりまとめの政治力や事務能力の優秀さには頭が下がる。
まぁ、結局なんだかんだ云っても彼は優秀な彫刻家であるということだ。その彼が年度末の忙しい中、わざわざ島根まで来てくれるということが実に嬉しいことなのだ。

「おはようございますぅ〜〜とうふやですぅ〜〜」
朝のうちにデスクワークを少しでも先に進めようとデスクトップをつついていたら、玄関の引き戸が開いて聞き覚えのある声がした。まさか彼がこんなに早く石見銀山入りするとは思ってもいなかったから少々焦った。すぐに土間へ降りて久しぶりの再会となった。
町並みや田んぼにある吉田の彫刻を案内して、一緒に昼食をとって、それからそれぞれに別れた。時間にするとせいぜい3時間程度のこと。それでもとても濃密なひとときになった。

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