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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

柿渋染の古色 

2019/07/15
Mon. 23:14

退院後はじめての本格的なクリエイティブワークになっていた柿渋染だったが、見事な失敗に終わった!
せめてもの救いは、ボクの正業(ちなみに、家業は「坊主」です)である彫刻家としての仕事ではなかったこと。
これで鉄のナニカで失敗していたら、彫刻家引退を考えたかもしれない・・・とはいっても、完全なる大失敗という気もなくて、要するに「万善寺粗品」としての商品価値をクリアーすることができなかった・・・という程度の失敗。
柿渋染そのものは、久しぶりにワクワクドキドキするような実験と発見の連続で、ソレはソレで実に楽しい工夫の日々であった。

失敗のポイントはおおよそ予測できている。これからそのあたりの工法を修正しながらなんとかしてお盆の法要までに必要量の粗品を確保することになる。
俗なことだが、今回失敗した万善寺粗品手ぬぐいに要した経費を集計したらナント!16,000円にもなっていて、手ぬぐい1枚が400円もする万善寺規模の粗品としては完全な大赤字になった。
先代の憲正さんが配っていた粗品は、例えば万善寺の寺名入り100円ライターとかポケットティッシュとかボールペンとかそういうもので、だいたい1個150円程度だった。
今でも、業者発注ですませてしまえば、だいたい似たような経費で用が足りると思うが、一方で彫刻家であることに生きがいを感じてもいる現住職のボクとしてはソレをしたくない意地のようなものがある。法要にお参りの檀信徒の皆様へ何かしら住職の「流した汗の痕跡をお持ち帰りいただきたい」と勝手に思っているのだ。
俗に染まったナンチャッテ在家坊主のヘナチョコお経で信心がより一層深まることなど期待できないし、かといって、そんなもんだと飲み込んで坊主家業にあぐらをかいているのも嫌だし・・・せっかく一方でクリエイティブな世界に身を置いているわけでもあるから、それじゃぁ〜「粗品くらい坊主自ら一つ一つ念入りに手造りしたモノがあってもいいじゃないか・・・」と考えているわけです・・・

お彼岸が終わって先住職内室俊江さんの3回忌が終わって、体調不良を騙しながら入院前に片付けたい用事で慌ただしい毎日を過ごしていた頃、萩原健一さんの訃報が入った。
私とほぼ同世代で同じ時代を生きた人だった。いろいろとやんちゃなところもあったようだが、俳優業が増えてからあとの彼が好きだった。
その萩原健一さんで一番強く印象に残っているのは「股旅」という市川崑さんがATG(アート・シアター・ギルド)で撮った映画。
その頃は「木枯し紋次郎」が大流行していて、何作かは市川崑さんが監督していた。股旅はその木枯し紋次郎の空気感をもっと濃密にした感じの映画になっていた。萩原健一さんのなんとも不格好なヘナチョコ渡世人がテレビの印象と全く違っていて、あのカッコ悪さに強烈なリアリズムを感じた。
その映画で強く印象に残っているのは、渡世人の身につけている襦袢や袷や合羽や道中の小物入れなど。その使い込んで擦り切れてボロボロになった風合いがリアルに伝わった。
染め落ちた柿渋染の古色に、あの「股旅」の世界が再現された気がしてどこかしら懐かしかった。

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