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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

木の香 

2019/09/13
Fri. 17:05

銀山街道をしばらく走った先の合流でチップを満載にした11tのすぐ後ろへ付いた。
まだ、早朝の空気は冷やりとして爽やかだ。
やっとエアコン無しで窓を全開にして開放感を味わえる季節になった。
銀山街道から出雲街道へ入るのに左へ曲がるところまで前を走る11tがまき散らすチップの香りに包まれながらのんびりと気持ちよく朝のドライブを満喫した。

ふと「木彫の彫刻家は制作が続く間、毎日木の香りに包まれながら過ごしているのだろうなぁ〜〜」と羨ましくなった。
鉄の彫刻家の私はと云うと、血なまぐさい鉄のイオン臭とグラインダーの砥石がまき散らす粉塵に包まれて鼻の穴を真っ黒にしながら制作を続けている。
素材に対する愛おしさなど微塵も湧いてこないまま、コレでもかと云うほどガンガンと鉄板を叩きまくり削りまくって、実にガサツ極まりない。
こういう制作からは、造形の美しさがドウノとか、素材の魅力がコウノとか、そういう形而上の美的状況を想起できる要素など湧くこともない・・・ナ!

・・と、ぼんやりそんなことを思いながら出雲街道を少し北上して万善寺へ着いた。
8月もそろそろ終わろうとしている頃から参道と駐車場の舗装の僅かな隙間へ根付いた百日紅の蕾が緩み始めて、それから1週間の間に次々とピンクの花を咲かせた。
この百日紅は、境内にある百日紅の枯木から種子が風に乗って根付いたもののようだ。
枯木の根本から出た幼木とだいたい同じような時期に蕾から花になる。
親木である枯木の方はそれからまた1週間ほど遅くに花を咲かせるが、秋になって親も子も同じ時期に花が終わる。
枯木は、根本の低いところから二股に分かれていて一方はすでに枯れ絶えたから、何年も前に私がチェンソーで切った。切り口を見るとすでに底が見えないくらいの虚が出来ていたから、ほんとうはブリキか何かでフタをしておくと雨が入らなくていいと思うのだが、なかなか実行に移せないまま今に至っている。
片方だけ残った幹も、もう生きる気力をなくして何時枯れ死んでもおかしくないほどに弱っていた。原因はわかっていて、ボクの母親で先代住職の内室おかみさんがセッセと何年も百日紅の周囲へ除草剤を撒き続けていたからだ。
ソレに気づいたのは、先代の通院が頻繁になって送迎のお供をするようになった頃だった。あれだけ見事に次々と絶え間なく小さなピンクの花を盛り上がるほど咲かせていた木が、花が咲かないまま秋を待たないで枯れ葉が散り落ちるようになった。
すでに、腰が大きく曲がって上を見上げることもないままの母親には、庭にはびこる雑草ばかりが目について気になって仕方がなかったのだろう。梅雨の頃から夏が終わるまでひと雨降ってそれが止む度に杖を片手にヨチヨチと除草剤入りのジョウロを持って境内の周囲をぐるりと歩いていた。その母親も体力が衰えて庭に出ることもなくなってから、少しずつ百日紅の枯木が生を取り戻し始めた。その頃に根本から幼木が伸び始め、同時に舗装の隙間からも百日紅の若木が成長をはじめて今に至った。

今、満開の百日紅には秋のミツバチが朝早くから絶え間なく次々と蜜を吸いに来ている。

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