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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

贅沢な食卓 

2020/03/02
Mon. 23:59

法事では珍しいお頭付きの鯛が入った斎弁当を持って、ウキウキと吉田家へ帰った。
この頃は随分と陽が長くなって西陽に照らされた雲がオレンジに染まってきれいだ。

駐車場へ着いて荷物を降ろしたりしていたら、仕事帰りだろうか?自転車から降りたばかりの登美さんと出会った。
「正チャン最近痛風どぉ〜お?」
石見銀山町並みのド真ん中で大きな声に「なんで今さら??」と少々気恥ずかしくもあったが、石見銀山の場合、私の持病に限らず町内の殆どの住人に関する持病事情はすでにみんな周知のことで個人情報がどうとか守秘義務がどうとか、そういう堅苦しい近所付き合いとは無縁である。
「薬も欠かさず飲んでるし、特にこれと云って良くもなく悪くもなく・・普通ですよ」
「あのネ、牡蠣あるの・・・正チャン牡蠣好きなの知ってるけど、痛風に良くないらしいし、どうかなと思って・・採れたてで新鮮だからまだ生食で大丈夫なんだけど・・・どぉ〜お?いるぅ??」
今年・・・というより、随分前から口にしていない牡蠣が貰えそうとわかって、法事の疲れが一気に吹き飛んだ。
「えぇ〜、いいんですか?」
「封を切って少しほど味見させてもらったんだけど、やっぱり美味しいわよねぇ〜、それに身も大きいし、食べごたえがあるわよ。私一人で全部はとても無理だから、残りものだけどいらないかと思って・・・でも、痛風大丈夫?ほんとに??」
「全然平気です!後で痛くなっても美味しさ優先ということで、初物ですよ!」
「じゃぁ、後で持っていくわね」
「ありがとうございます!」
それからしばらくしてビニール袋いっぱいの大きくて立派なむき身の牡蠣を持ってきてくれた。

吉田家はワイフがまだ帰宅していなくて、日が落ちて少し暗くなり始めたリビングは寒々としていた。ひとまず頂いた牡蠣を冷蔵庫にしまって、斎弁当を食卓のワイフの定位置へ置いて、ストーブに火をつけ始めたところでワイフが帰ってきた。
しばらくの間、土間で何やらゴソゴソしていたワイフが「しょぉ〜ちゃぁ〜ん、ただいまぁ〜・・・カニ買ってきたわよぉ〜」と、大きなビニール袋に氷と一緒に入れてある紅ズワイガニを重そうに抱えて入ってきた。
私の法事の裏番組で、彼女は朝から山陰の作家仲間の個展会場を2箇所ほどハシゴして、その途中で境港の卸売市場へ寄ったらしい。

その夜の吉田家は、1年に一度あるかどうかの盆と正月が一緒に来たような・・いや、むしろソレ以上の超豪華で贅沢な料理の数々が食卓に溢れた。
「あとになって、痛風が出るな・・・きっと・・・」
ふと、不安と確信めいた予測が脳みそをよぎったが、ボクの心は美食を目の前にて完全にポキリと砕け折れて理性が遠くへ消えていった。

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