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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

ゴロゴロシンキング 

2020/03/08
Sun. 23:56

鉄の工場にいると時間がすぐに過ぎる。

長い間の経験上、午前中の制作工程がその日の進捗状況を大きく左右させるので、早朝に目覚めるとそのまま布団の中でゴロゴロしながらその日の制作のシミュレーションを頭の中でアレコレと工夫する。
まずは、完成までの制作のスピード優先で無駄な付け足し要素を一切省いたかたちをおおよそ想像してみる。そうすることで例えば鉄板の使用枚数とかサイズが見える。彫刻の完成予想サイズを鉄板の工業規格から割り出すわけだ。

今回は小品だから4✕8サイズの鉄板が1枚あれば彫刻1つを造って余るくらいになるはずだが、その鉄板がまだ真新しい黒皮鉄のままだと小品としての密度が鉄材の表情を造り込むには希薄になって味気ない。それで、過去の制作端材を溜め込んだ中から適度に味わいの出た鉄サビの鉄板を探し出して、それらの表裏を見比べて組み合わせながら平面図や立面図などに当てて正面とか背面の表情を決めていく。その平面図などが今はボクのとろけた脳みその中にしまい込まれていて、鉄板の現物に併せて頭の中で自由に伸び縮を繰り返す・・・その工程が、布団の中のヨシダオリジナルゴロゴロシンキングタイム。
このゴロゴロシンキングがすんなりと決まれば、すぐにチョークのドローイングに置き換わって、工場の午前中が実に無駄なく有効活用されて制作が手際よくはかどる。

溶断したパーツが全てそろうと、昼飯のパンでもかじりながらしばし鉄板のパーツと向き合って無言の会話が始まる。
この切り出した鉄板の表情を観ながら続く無言の会話でだいたいの完成予想図が見えてくるから、ひとまず工場の何処かへチョークでメモ(他人が見たら落描きのようなものだけど・・)して残しておく。
あとはひたすら無駄なく手際よく溶接を繰り返していくわけだが、ここで最も大事な彫刻のテーマを慎重に引き出して1点の彫刻へ託しておかないと、造形の方向が堅苦しい無機的人工の建築的構造物のようなつまらないモノになってしまうから、ソレは避けなければいけない。
私の場合は、自分の造形におけるテーマの重みがさり気なく造形物としての彫刻に映っていないといけないから、そのひと手間が私の鉄の彫刻にとても重要な役割となっている。

午後からは、切り出した鉄板パーツの1枚1枚を金槌でひたすらたたき続ける。
なんの表情もない錆びた薄汚い鉄板に、この「金槌で叩く」という工程を加えることで有機的な柔らかさが生まれる。
それは彫刻造形の張りになって量感を増す手段でもあるが、野外彫刻を基本とする私の場合は、自分の彫刻がある程度の一定期間は島根の四季の天候環境に溶け込んで存在し続けるための重要な条件ともなっている。
今制作中の小品彫刻は、屋内設置を前提としているから野外彫刻としては欠陥するところがある。しかし、一方で屋内彫刻だから可能になる造形上の工夫もあって、それはそれで自分としては十分に納得しているし制作を楽しませてもらっている。

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