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工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

裏庭の彫刻 

2020/05/19
Tue. 18:45

前日までにだいたいざっくりとは終わっていた吉田家裏庭の草刈りをキレイに掃除し終わったところで雨がパラパラと落ちてきた。
これから先、庭木の花や果実がひと通り落ち着いてから春の剪定をすれば夏の盛りが過ぎるまでの適当な時期に夏草を刈って、晩秋から初冬にかけて落葉が終わった頃に冬の剪定をして裏庭整備の1年が終わる。
吉田家の裏庭くらいの広さだと毎年の環境整備を怠けないでいればなんとか荒れ地のジャングルにならないで済ませることができるが、それも過去に何回か失敗して手のつけられないほど荒らしたことがある。これから先は自分の体力次第というところだ・・・
一方、万善寺の境内整備は毎年少しずつ悩みのタネが増えている。
年々裏庭へ進出し続けている裏山は、この近年一気に孟宗竹が茂って竹林に変わりつつあるし、少しの日差しを求めて熊笹が庫裏のすぐ裏まで伸び広がってきた。
イノシシは毎年のように山から降りて境内のアチコチを掘り返して歩いているし、春になって少し暖かくなるとアナグマが本堂のすぐ横で昼寝していたりする。
寺の裏山は尾根に沿ってクマの道も出来ていて、それが墓地の裏を通ってその先から保賀の谷を渡って山越えの獣道へ続いている。年に節目の参道や墓掃除はそれこそクマとの接近遭遇を避けてビクビクしながら続けている。今はまだだが、寺の周囲へ猿が出没するようになったら、万善寺の環境整備もお手上げだ。

20年ほど前に石見銀山の町内を会場にして個展をして、その時の彫刻を一つほど吉田家の裏庭へ移動した。
あの頃はまだ庭木を植栽する前で、以前の畑の名残が一面に広がっていた。それから数年の間にワイフがセッセと各種庭木を植え続けてその木々が鬱蒼と茂った。彫刻は同じ場所でピクリとも動いていないのに年々その場所は日当たりが悪くなって日陰が増えて今に至っている。
あの彫刻を造った頃の自分は、かなりいきがった自信家で変なプライドの塊ばかりだった気がする。
鉄の素材も加工技術も身勝手なこだわりがあったし、細かいところまでチマチマと造り込んで、無くても良い付属品をワザワザ造り足したりして、とにかく自己主張の強い独り善がりな彫刻を飽きもしないで次々と繰り返し造り続けていた気がする。
20年の経年変化を見ると、無駄に造ったかたちのアチコチへ野生が住み着いて成長して彫刻を侵食している。彫刻の人工の存在感が次第に自然の経年秩序へ飲み込まれつつある。見方や意識を切り替えると、それはそれでそういう彫刻があっても良いかとも思うが、一方で、彫刻制作の当時に近未来の存在条件とか存在価値とかをまったく予測できていなかった自分に落胆する。
裏庭の整備で草刈りのたびに彫刻を取り巻く周辺環境の現状を後付で受け入れざるを得ない自分の未熟を思い知らされて息苦しくなる。

その彫刻の無駄なひと手間へ数年前に南天が根付いて、それからしばらく後にリュウノヒゲの仲間も根付き始めた。それでも、まだまだ数十年先まで、いつか私がいなくなっても、その彫刻は裏庭のその場所でしぶとく周辺の自然に抵抗しながら居続けるだろう。

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