FC2ブログ

工房むうあと鉄の手仕事

鉄の彫刻家、吉田正純の手仕事、彫刻や展覧会の紹介、万善寺住職活動など、さまざまな日常を公開します。

あの頃は・・その4 

2012/05/30
Wed. 07:51

しめっぽい話が続きますが、昨夜、町内のご近所さんのお通夜に行ってきました。

坊主家業以外は礼服を着るようにしているので、今年に入って初めてのネクタイ着用になりました。
今夜は、もう一軒のお通夜があるので2日続けてネクタイを締めることになります。

午前中は、初七日のおつとめに鐘つき坊主でお供させていただくことになっているので、もうしばらくしたら改良衣に着替えて石見銀山の自宅を出発します。
その足でぐるっと一回り、ワークショップと展覧会のチラシやポスターを配って歩いて、それが順調にいけば、やっと5月の内にギリギリセーフでチラシ配りのひと山を越えることが出来そうです。

古い話ですが、私が今のように彫刻を作る前は金属工芸の勉強を約6年間続けていました。その間にも、展覧会に出品したりグループ展の仲間に加えてもらったりしながら好き勝手にやりたいことをやらせてもらっていたわけですが、そのような暮らしが出来ていたのも、もとはといえば、先行き何れは坊主になって万善寺を引き継ぐという避けて通れない将来の進路が決まっていたからです。

自分の周辺を見回すと、小さい頃から仏具の金属製品に囲まれて育っていた関係で、自然と積年の埃を磨き続けたり煙で燻され続けたりして底光りする金属の魅力のようなものを間近に見て育ったところもあって、デッサンや構成の受験勉強へ入るときも、何かしら坊主という職業が頭の片隅にチラついて、どうせだったらそれに関連した勉強をしたほうが良いだろうと決めてかかっていたようなところもあったように思います。

確かに専攻に入ってから後、実習の勉強中は脇目も振らないで技術を少しでも正確にマスターしようと、そればかり思いながら道具を使い続けていたように思います。
何人もの学生が一斉に叩くので、工房中に金槌の槌音が反響してとてもうるさいのですが、それが全然気にならなくて、集中していると自分の槌音だけが反響の中から次第に浮き上がって、他の音ときちんと聞き分けながら金槌を叩き続けていたりします。

その頃に、先輩で同じ専攻に在籍していたのがなぎささんです。
真面目に勉強しようと心に決めている(だけだったかも知れないけど)当時の吉田にとっては、金槌を振り続けるなぎささんの小さな後ろ姿がとても大きく感じて見惚れていたことを思い出します。
ゴツイ男共に混じって、小さな身体で正確に金槌をフリ下ろすなぎささんを見ていると、力だけでは解決できない技術の確かさがどれだけ重要なのかということに気付かされました。
なぎささんの彫刻を見ると、あの頃の彼女の後ろ姿が思い出されてとても懐かしく感じました。

私のほうは、結局その後、学生生活最後の2年間に積み重ねてきたはずの目標がだんだん見えなくなって、あれだけ握り続けていた金槌も埃をかぶり始めて、やる気の無い日々を暮しつつ、採用試験の座学勉強に切り替えて島根に帰ってきました。

引っ越しの荷物に金槌などの道具を詰め込むときは、そのまま置いておこうか一瞬迷ったりしたものですが、結局は、現在こうしてまたあの頃の金槌を使い続けていたりするし、あの、なぎささんが彫刻小品展に自分の作品を提供してくれたりして、あの頃からの繋がりがまだ途切れないでいられたことをとても有り難く感じたりしている今日この頃です。

井上なぎさ 2011年作 「若き母」

IMG_3973.jpg

[edit]

CM: 0
TB: 1

page top

この記事に対するコメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://tetujin29.blog31.fc2.com/tb.php/885-63305f46
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【あの頃は・・その4】

しめっぽい話が続きますが、昨夜、町内のご近所さんのお通夜に行ってきました。坊主家業以外は礼服を着るようにしているので、今年に入って初めてのネクタイ着用になりました。今夜...

まとめwoネタ速neo | 2012/05/30 11:40

page top

2020-05